銀座の顔が変わった

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銀座の顔が変わった
 銀座中央通りに面して「G SIX(銀座シックス)」が完成した。
 2003年から始まったプロジェクトが14年後の2017年4月に完成したのだから、銀座の地元の人にとっても、ギンブラ・マニュアの人達にも、とても嬉しいはずだが、銀座の業態がこれでいいのか、という疑問は残る。
 先ず中央通りに面したビルの六つの顔、左から
FENDI,VALENTINO,VanCleef&Arpels,VALENTINO,SAINT LAURENT,CELINE,Dior ドバイでも、香港でも、ハワイでも世界中どこの後進国にいっても同じブランドの顔が並んでいる。世界的な発信力のあるブランドを揃えたと主催者はいうが、冷静に考えるとユダヤ系の資本の入っているブランドが多く、今更のようにファッション・ビジネスに於けるユダヤの強さがよく判る。
 一階から五階までのFASHIONはほとんどがそうした海外ブランドからなっている。たまに漆器がはいったり、雑貨がはいったり、定石のジャパニーズ演出があり、従来からある商業施設のテクニックと変わり映えはしない。 あらためてこの国のファッションは駄目なのだ、ということがよく判る。
 帰途外に出た時、正面に立ち上がるユニクロの銀座基幹店がなんと美しくみえたことか、天に届けとばかりならんだマネキンのリアルファッションのディスプレイに日本人の頼もしさをみた。
 外観の銀座シックスは素晴らしい。こまごまとした銀座通りの表情が一気にかわった。上層階のガラス壁面にストレートに通したステンレスのひさしが迫力を創りだし、銀座の顔を刷新した。
 設計の谷口吉生は、資生堂のアートハウスや土門拳記念館などの設計が好きだが、直線とガラスに偏った考え方が上手くアレンジされている。世界中の観光客の眼に止まるであろうデザインは、東京の顔にふさわしいプレミアム感を出している。
 共用部のデザインをしたグエナエル・ニコラは無難、それより中央ハサードにつりこまれた草間彌生に眼をうばわれるが、草間からスタートして次は誰に、の期待がふくらむ。屋上の江戸庭園文化を取り入れたというランドスケープデザイナーの宮城俊作は底の浅さにがつかりした。この庭では発信力は皆無である。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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