昨日のメンズ、今日のデパチカ

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昨日のメンズ、今日のデパチカ
 「何故だ!」三越岡田社長が叫んだお家騒動はセンセーショナルな出来事だつた。社長の知らないところにあった取締役会での解任手続きは、悪夢の事件だった。
 世紀を超えて同じような事件が、再び三越伊勢丹ホールディングの大西洋社長の身にふりかかった。東大出身の石塚邦雄会長から「現場はこれ以上もたない」と言われ、任期途中にもかかわらず引導を渡たされた。
 大西社長は新宿伊勢丹のメンズ館成功の実績で登場した。メディアが好きで、万事ひかえめの三越系からは
あまり好感はもたれなかった。
 数年前から突如起こった中国人の爆買いツアーに呼応し、銀座店を一気に高級品志向にし、さらに免税店フロアを大々的にレイアウトしたのだが……。
 気がつけば爆買い中国人は消え、ユニクロやらビックカメラに移っていった。百貨店の業態そのものが、日本のユーザーはもとより中国人インバウンドの客からも嫌われている、ということに気がつかなかったのだ。
 そとでは”ミスター百貨店”と呼ばれ、人気者であった。
 三越伊勢丹のみならずすべての百貨店はいま冬の時代を迎えている。
 フロア総てをテナントに貸出し、デパートという名の不動産屋に転向しつつある店、通販に特化しようという店、あるいは安売り路面店を取り込んで、なんとか数字を上げようともがいてる店など、長い間のデパート天下のお蔭ですっかりネジが狂ってしまっている。
 ”今日は帝劇、明日は三越”の夢からまださめていない。
 三越伊勢丹ホールディング社長の席は、クイーンズ伊勢丹で名をあげた食品専門の杉江俊彦専務が担うこととなった。すなわちメンズファッションからデパチカに権力は移った。
 テレビをみればラーメンやらコスパ食堂、食欲番組ばかりなので、その影響かと勘繰りたくもなる。
 公家の三越も、新宿至上主義の伊勢丹も、なにか間違っている。
 巷では10年後に百貨店という業態は消えている、という本が売れている。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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