プレ金の昼下がり、劇場はマスク、マスク、伊達マスクの波だった。
そこは劇場というより、大病院のホールにしか見えない。
女たちのマスクに対する執着は異常、人前に出てくるな、と言いたくなる。
海の向こうから来た友人は、日本は不思議なものが流行るのね、と驚いている。
20代の女性は41.2%が、伊達マスクの愛用者ときいて再び驚く。
伊達マスクの目的は、
①に他人の視線を避けたい。
②に自分に自信がない。
③に他人と話したくない。
その上伊達マスクの効用として
①スッピンを隠したい
②寒さから顔をまもりたい
③お肌の保湿に
④小顔と思われたい……マスクで顎を覆うと顔のラインが隠れて小顔に見える
少しばかり病的なナルシストだと思っていいだろう。
抱え込んだコンプレックスを隠すための心理的バリアであると解説する先生もいる。
自分ひとりの世界に閉じこもる心理の表れであり、社会を拒絶することにも通じ、
やがて 社会から拒絶される自分がいて、のつぴきならなくなるという明日が見えていない。
伊達マスクは、社会の危険物である。
伊達マスクの心の闇
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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