どれくらい私のこと好き?

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どれくらい私のこと好き?
 「どれくらい私のこと好き」
 つきあいだして二つ、三つの障壁を超えると必ず浴びせられる質問である。このとき曖昧な返事や適当な受け答えをすると、後にたいへんな眼にあう。女性はホメ言葉にすら、工夫と芸術性とオリジナリティを求める。
 「世界中のどんな薔薇の花より君が好き」通俗すぎてこれはいけない。
 「僕の頭のなかの女性には君の名前しかない」そう言いながら、玲奈のこと加奈のこと美沙緒のこと、走馬燈のごとくに思い出していると、すぐばれる。どうしても言葉が浮かばなければ、このくらい好きだといってやや暴力的にキスするしかない。それなりに容姿に自信があり、自律的かつ個性的な女性でも、具体的な行動は言語を超える。
 自分からアプローチしてきたジェンダーフリーの女性でも、往々にして気まぐれで、わがままで、ヒステリック。脳みそのスイッチが突然切れて、肉体のスイッチがオンする。
 要は絶望的に「オンナノコ」なのだ。先進的な恋愛観をもつた自由な女子だつた筈なのに突然に人格が入れ替わる。
 すこしずつメンドウくさいオンナノコになり変わっていく。
 結婚記念日、誕生日、クリスマス……工夫のないコミュニケーションや自分への注目がたりないことは、絶対に許さない。たとえ容姿が崩れても、オトコノコは褒め続けなければならない。
 が時間を重ねれば当然のごとく、男の脳は節約モードに移って行く。初めの頃考えて紡いだ言葉は、獲物をとる燃料であってとっくに消滅している。獲物をとる道具と捕獲した獲物を維持する燃料はまったく異なるということが、理解されない。
 オンナノコは一定の時間がたつと、一様に不機嫌になる。プライドの高い文科系女子は、現実を消去して不倫に走る。オトコノコは消去できずに、一生保存して思い出にしがみつく。オトコノコは、心の壊れた女性を追い続ける属性をもっている。
 「君の名は」に始まった2017年は恋愛ドラマ再興の年になるかもしれない。面倒くささのない恋愛ドラマがみたい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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