パリは愛の都といわれている。男と女の愛について、世間的な制約がすくない。
カフェのテラスで眼があった時、素直に君の眼に惹かれたでもいいし、貴女の雰囲気が僕の心を奮い立たせたでもいい。いっしょに居たいという意志をはっきりと伝えれば、思わぬシアワセに出逢うこともある。
パリの女はためらうことなく、率直に答えてくれる。翌朝のコーヒーを共ににし、ふたりの関心が一致して家族になりたいと思えば、そのように生活できる。
フランスで二人で暮らしたいと思った時、三つの方法がある。
まず第一は同棲、最近は日本でも同棲は増え、地方からでてきた学生間では、コスパの理由から同棲が多いと聞く。 Union libre フランス語の同棲は「自由な結びつき」の意味で、日本と同じく手続きも許可もいっさいいらない男女の生活形態だ。
かってナポレオンが、「同棲は法を無視しているから、法もまた同棲を無視する」と宣言してナポレオン法典をつくった。法律のさだめる義務はいっさいないし、特典もない。二人で同じ屋根の下で暮らす、それがすべてだ。
第二にPACS、Pacte civil de solidarite 手続きの簡単なお手軽な共同生活契約である。
1999年からあるのだが、もとはゲイの人々やレズの女性のために考えられた。社会保障や税金の手続きも簡単なので最近のカップルはパックスという形式で、共に暮らしている人が多いと聞く。人生とか財産とかおおげさに考えないで、とりあえず二人の愛を国家が包んでくれるシステムと考えたらいい。
そして第三は結婚 Mariage、まず市役所に届け出て市役所の一室で結婚式を挙げる。かって結婚の許可を国家と教会で争っていた時代の名残だそうだ。結婚が許可されれば、死ぬまで国家の庇護をうけ、国家に忠誠を尽くす義務がある。
さて迷える貴女は、同棲、パックス、結婚 どれを選びますか。
フランスで共に暮らす三つの方法
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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