ユダヤとLGBTQのマレ地区

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ユダヤとLGBTQのマレ地区
 シャンゼリゼーは旅行者のために、マレはパリジャンのために、というのがフランス人の認識のようだ。
 マレは貴族のお屋敷という認識もある。アンリ四世によって建てられた38の美しい館のあるヴォージュ広場があるから。ボージュ広場の日曜日はカップルとファミリーが一面に寝転がって、見渡す限りシアワセに寝転んでいる。王宮のしたには、ギャラリーやレストラン、カフェ、ブティクなどあり、ヴィクトル・ユーゴーも住んでいた。
 マレはユダヤ人のふるさとだ。なぜならイスラエル料理のシンボル、ファラフェルがあるから。
 ファラフェルとは、ユダヤ人のファーストフード、ひよこ豆のコロッケと野菜をピタパンにはさんでたべる。
歩きながら、道端のベンチで、今流行りのストリート・フードなのだ。ギマールの設計したシナゴーグ、ユダヤ教会もある。眼のまえを丸いお椀型の帽子キッパをかぶった黒いガウンのユダヤ紳士があるいている。このあたりはいつのころからユダヤ人の暮らすエリアにもなった。
 がなによりもマレがいま最も注目されるのは、LGBTQのメッカだということ。
 LGBTQについて不案内のひとのために余計な解説を加えれば、レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランス・ジエンダー、性同一障害の人々の集まる町だということ。ニューヨークでいえば、クリストファーのような、新宿2丁目のような、21世紀の性の町でもある。人気のCafe COX などのぞきたいとおもってもまず不可能に近い。フランス版のマツコ・デラックス、美輪明宏、カルーセル麻紀など溢れていて、正常人の立ちいるスキはない。ただ日本のごとくオカマといえば水商売か、芸能人という実態はなく、消防士のオカマやら、バイセクシャルのお巡りさん、ゲイの議員さん、レズのスタイリストなど、それぞれ普通の仕事についているLGBTQの人々が多く集まる。マレ地区のキゾクの館の中庭など除くと、美しいレズのカップルなどに遭遇する。
 カルナバレ美術館、写真美術館、コニャックジェイ美術館、ユダヤ芸術歴史博物館、パリ工芸博物館、ポンピドー芸術センター、ピカソ美術館、国立文書館にはジャンヌ・ダルクの手紙、ルイ14世、マリーアントワネットの遺書などもあって、マレは美術館の宝庫でもある。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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