早朝、パリ東駅からTGVでアルザス地方のコルマールを目指した。
フランスの花咲く町と村のひとつに選ばれているから、まず被写体として間違いないだろう、というはなはだ頼りない選択である。 「小さなヴェニス」と呼ばれているから、水の景色は沢山あるに違いない。
アルザスの優しい山並みとどこまでも続くポプラ並木に見守られてコルマールについた。コロンバージュと呼ばれる木骨組みの中世の建築物が町の中心を支配している。直角でもなく、平行でもないイレギュラーな木組みと白壁に塗りこめられた街並みはお伽の国のようであった。
「ハウルの動く城」の舞台としてジブリが此処にこもって仕事をしたというの、素直に頷ける。
町にはハートとコウノトリがあふれていた。窓という窓にハートがあしらわれていたり、大戸の覗きがハート型だったり、ハートの量は尋常でない。土産物屋の店頭にはコウノトリが赤ん坊を入れたバスケットを運んでくる細工物があふれている。
イギリス留学時代の浩宮が雅子妃と始めてのデートをコルマールでしたという噂があるが、この町をみて納得した。かっての皇太子が度々口にしていた「…コウノトリの思し召しに」と言っていた謎が解けたような気がした。
運河巡りの小さな舟にも乗ってみた。のけ反って鼻先をするほどの橋のしたをくぐったり、アルザスのベニスは花と水の都だった。
ハートとコウノトリのコルマール
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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