カワイイという感性の領域は女子に限るとながねん思ってきたが、カワイイ文化は日本独自のサブカルとばかりに、海外でKAWAIIというキャッチを目にすると反応の仕方がわからずとりみだしてしまうことがある。
春になるとチューリップの花があちこちに咲く。カワイイと感嘆の声を発して花に吸い寄せられる女子は当たり前のことと眼に慣らされてきた。花が可愛かったり、カバンが可愛かったり、ブラウスの襟がカワイかったり、スカートのプリーツが可愛かったり、カーテンや机まわりがカワイイのは、女子の感性としてそんなに珍しいことではない。
ところが最近では大人女子みずからが、可愛いでしょ、とばかり自分をアピールするようになった。
35歳だけど、ワタシカワイイデショ、と変な踊りつきでパフォーミングしている。どこかで脳みその進化が止まっているのは確かな事実だが、普通にはただのブリッコで腹黒女子のみっともない仕草と受け止められるのがせいぜいだろう。
こうした老婆に振袖のたぐいのカワイイではなく、単純に禿げている男子をつかまえてカワイイを連発するにいたっては男性に対する女子のセクシャルハラスメントとしかいいようがない。
原宿に「カワイイ味噌汁屋さん」が開店したと報じられた。なにがカワイイのか判らないので現場にいってみた。形式は屋台のクレープ屋さんと変わらない。カワイイ味噌汁はフードカップに入れられて登場する、海外でも味噌スープはすでにかなりの知名度で市民権を獲得しているので、そこそこの商売は期待できる。麩の具がハート型だったり、油揚げがクローバーの片抜きだったり、にんじんはダイヤだったり、それなりのカワイイ工夫に充ちていた。
スポンサーがまるこめ味噌と聞いてなぁーんだと一気に脱力した。
カワイイ女子もカワイイを使いすぎると友達を失う、という現実に目覚めたほうがいいかもしれない。
カワイイ味噌汁、原宿に登場
コメント
1件のフィードバック
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この頃、上目遣いをしてみたら
おでこにシワがよって可愛く見えないことに気がついて
おばあさんになったんだな~と…
プロフィール

星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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