21世紀鷹峯フォーラムのあした

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21世紀鷹峯フォーラムのあした
 100年後に残る工芸のために、オール京都、工芸の祭典 とキャッチを掲げ、このほど「21世紀鷹峯フォーラム」なる大会が催された。
 京の地に生まれ育ったすべての工芸を集約し、いま工芸の抱えている問題点を洗い出し、鷹峯に光悦村が開かれた400年のとしに、明日への工芸の道をひらいていこうという壮大な目的のもとにスタートしている。
 国際会議場に於けるメインシンポジウムを軸に、芸術系大学、各美術館、博物館、そして作家工房まで包括してのプロジェクトだ。
 中心になって活動しているギャラリー桜の木の岩関禎子さんのエネルギーと工芸にたいする思いの深さは、尊敬に値する。今後この催しは東京、金沢へと展開していく予定だという。
 気になるのは、かっての文化系プロジェクトの多くが、大学の先生と官僚にささえられ、現場の工人やファンへのアピールが薄く、結局はいちじの話題で終わってしまったことだ。
 官僚は肩書きのため、大学教授は論文のため、工芸を見立て、工芸を論じても、工芸を買おうとはしない。買われない工芸は生きていけない。匠や工人たちはそのあたりの現実を知っているが故、あまり関心を示さないのだ。
 鑑賞工芸にしろ生活工芸にしろ、使い手やコレクターに支えられてのものなので、その辺への取り組みが重要な課題になるだろう。
 折しも鷹峯光悦寺の紅葉は仙界の花のごとくに美しい。
 光悦村400年のこの年「21世紀鷹峯フォーラム」の成功を祈っている。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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