普通の家庭にもいろいろとルールがあるが、他人に理解されにくいという点では、断然花街に限る。なかでも京都祇園に残っているルール、まじないごとはかなり理解しにくい。。
誰かがおそばを食べていたら、見過ごしてはいけない。3本横からいただくと、「そば外れ」しないといわれ、いつまでもおそばに居られて幸せどすという次第、それが迷惑という男性もいるだろう。
新しい衣裳を下す時は、北をむいて「せんまい、せんまい、せんまい」3回いうて袖を通す、壱枚が千枚に増えますえ、タンスは一杯そんなに洋服がふえても困るという人はやらないほうがいい。
下駄、靴、履物は必ず左足から履かんと、親の死に目に会えしまへん、理由はよく判らない。
お座敷でいやなお客さんに出逢ったら、そっと廊下にでて、玉かんざしを反対に指すのどす、そうするとお客さんはさっさと帰るのどす。本当かな、試してみたいがこればかりは。
失せもの探しは、赤い糸を鋏に結んでつっとくと必ず見つかるとか、夜爪を切るときは、「鷹の爪、鷹の爪、鷹の爪」と三回いうてから切る。切った爪はかどに棄てると願いが叶うとか、町衆のまじないごととかぶっているのもいくつかある。
正月元旦は下から上まですべて新品で通すというのも、新しい歳への潔斎と心構えの故かもしれない。下着から上着まで総てを新しくする、過ぎた年のいやな思い出も捨て、心機一転というのも、正月にふさわしいまじないごとだ。
満月の夜、財布をからにしてお月様に見せると、たちまちにして再び財布は膨らむ、というのははかない貧乏人のねがいか。
赤いブラジャーを身に付けていると、かならず素敵な出会いに恵まれると信じ、寄せて上げて赤いブラの紐をちらつかせ、パリで芝居をしている少女もいる。
赤いブラジャーに賭ける
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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