朝なんとはなしの寒さに襲われ眼が醒めた。寝室の空気が冷たい。
急いでヒーターを見ると止まっている。なんだ昨夜はヒーターを付け忘れて寝たのか、苦笑してヒーターのスイッチを押した。何度か押してみたが、反応がない。ようやく停電に気がついた。
零下10度の軽井沢で暖房が止まるとかなりきつい。水を出してみた。水道管を守っているのは帯電ベルトなので、電気が消えると凍ってしまう。
それでも我が家だけかと思い、管理事務所に電話してみたが通じない。電話だけは昨夜、充電していたので使える。あちこちに電話の末、この停電はどうやら広域らしい。新幹線も止まっていると聞いてホッとしたのも変な話だ。
まず暖をとらねばならない。ここ数年使ったことのないストーブに頼らなければと、厚着をして久しぶりのストーブに挑んだ。いつもは冬の来客のインテリアとしてしか使っていないので、寒さ凌ぎの本来の役割りに火を点けるのは、久しぶりの出来事である。
煙突掃除の必要のない圧縮された人工燃料に、頼っているので発火剤が必要だ。発火剤が見当たらない。やっとのことで炎の踊るストーブになった。
そうだ冷蔵庫のなかのものが融ける、腐る、あわてての対策が必要だ。ストーブだけでは部屋が乾燥してしまうので、カセットコンロを持ち出し、やかんを乗せた。いつものラッセル・ホブスも役立たずである。
役場からの無線ラジオが、老人福祉センターやら図書館の休止を告げている。役場も勿論機能停止状態だ。電気が止まると、戸籍の受け付けも病院の電子カルテもすべて使えなくなる。信号も止まっているので、なるべく町を歩かないよう、自家用車も走らないようにと無線ラジオが告げている。
5時間の停電は、日常の落とし穴をあらためて教えてくれた。
電気は仮面の悪魔とさとった。
電気は仮面の悪魔
コメント
1件のフィードバック
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先生のお宅とTEI TOWAさんのお宅が心配でしたが
どちらも真っ只中でいらしたようで
お骨折りでしたね
大事に至らなかったようで安心しました。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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