親たちの名前遊び

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 「名前」は誰が読んでも同じように読めなければいけない。
 「名前」は性別がはっきりとしていなければいけない。
 「名前」は単純であれば単純であるほどいい。……
 そのうえで親の願いが込められていたらいい、というのが名前を付ける時のルールだった。
 2014年生まれのベストランキングを見てみる。
 男の子第一位の蓮はいいとして、第二位の大翔は「ひろと」「はると」「やまと」「そら」「たいが」「たいと」「たいしょう」と7通りの読み方がある。
 女子一位の陽菜は「ひな」「ひなた」「はな」「はるな」「あきな」「ひなの」の6通りに読む。五位の結愛は「ゆな」「ゆいな」「ゆあ」「ゆめ」、男の子の「陽向」「悠真」「朝陽」など女の子だといわれてもそうかと思う。 親御さんはゲイ全盛の今、わが子にもゲイを望んでいるのかも。
 音でいくと、第一位は「はると」だが、36種の当て字がある。陽大、春音、悠隼、陽士、春季、晴歩、陽友、遥歩…すべて「はると」とよむ。
 子供は親たちのゲーム感覚の名前で一生苦労する。クラスで名前を呼ばれても、はてどの「はると」かと戸惑う。葵だの愛莉だの心春だのキャバクラには向いているが、硬い仕事には不向きな名前だ。ホテルの予約もいちいち名前を説明するのに手間がかかる。
 すこしランクをさげると英語への当て字の名前や、マンガ、アニメの名前がふえる。
 その昔は文芸小説の主人公の名前が多く付けられたが、いまではマンガなのだ。
 文学は滅び、マンガが栄える。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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