国立新美術館のエレガンス不滅論

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 ニューヨーク・メトロポリタン美術館の大ディオール展やら、パリ・グランパレに於けるファッション・イベントなど、欧米に於けるミュージアム・イベントとしてのファッションは当たり前だが、この国には見当たらない。
 このほど国立新美術館に於いて「エレガンス不滅論」と題するジュン・アシダの奇跡と未来というファッション展がひらかれた。エレガンスをキーワードに、何なのか、条件、結晶、記憶、軌跡、最新系、可能性と芦田淳のデザイン・ワールドを軸に展開された。
 すべての作品は漆黒の闇に浮かんでいた。中原淳一との出会いに始まり、美智子妃殿下のための10年、フランス・デスタン大統領夫人を始め多くの顧客、芸能人との交流など映像でコラージュされた部分と実際のファッションが綾をなして、充実したファッション展だった。
 なによりもお嬢さんのタエさんが、アート・ディレクターを務めたので、父の総てを知りつくしている強みがあったが、惜しむらくはあの倍のスペースが欲しかった。クレバーなタエさんの切れ味が随所に充満していた。
 どんなに流行が変わっても、必ずエレガンスを口にするのは、シャネルからディオールまで変わらない。
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芦田 淳 春の少女服コレクションより中原淳一画 1965年
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Jun Ashida design1996 photo by David Woolley


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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