個人情報という笑いばなし

　人を見たり、人を見定めたりして、近隣の人や仲間との関係を築いてきた。
　学校でも職場でも、みんな氏・素性を明らかにしてコミュニティーを築いてきた。どこの家にも、表札は出ていたし、たまに表札のない家は怪しい職業に関わっているのではないかと、噂がたった。
　部落差別やらアイヌ差別など、たまに聞くことはあったが現実性はなく、そういう人たちのなかには凄い美人がいて、映画女優やミスコンの産地なのだと、うんちくを傾けるオバカな遊び人がいたりした。
　火事がでたり地震があったりの折には、すぐにお見舞いの電話もかけられた。
　それがいつの頃からか、地域の連絡先リストがなくなり、同窓会名簿もなくなり、何が起こっても連絡のしようのない不思議な社会になった。
　「それコジンジョウホウですから…」だってお前フェースブックや、ツゥイッターには、毎日顔だしていろいろ暴露して暮らしてるじゃねぇか、何を今更コジンジョウホウなんだよ。「だって人にはそんなに知られたくないし…」そんならなんで赤ん坊の顔ネットに晒して喜んでいるんだ。住所だったきいても教えないし、そんなに莫大財産あるのか。ただの貧乏人だろー、バカも休み休み言え。
　生きていれば、銀行やクレジット・カード、プロバイダー、ドコモのカウンター、すべてのサービスに
個人情報を登録しなければならない。バカ息子のお受験資料ベネッセ顧客情報流失事件にしたって、あれほど大騒ぎする必要があったのか。それに代わる教材のDMが送られて来たら、ゴミバコ直行で済むことではないだろうか。
　病院も役所もみな番号になって、すべて刑務所かのおもむきになってしまった。ちゃんとした名前を持ちながら、番号で呼ばれてそんなに嬉しいのかと問いたい。
　今飲んでいる場所を嬉しそうに写真付でさらし、恋人にアピールしている貴女に、もはや個人情報に値するプライバシーはまったくないと思うべきだ。
　クラウドに預けた二人のヌード写真は、全世界から閲覧自由と認識しなければならない。