「らら」か、「しをん」か？

　出世する名前がある。本来、名前をかえるというのはあまり勧められる行為ではないが、芸能界には、「襲名」という出世イベントがある。
　「桂三枝」は「桂文枝」になつて、すこし貫禄が出た。
　「亀治郎」は「猿之助」を襲名して、芸の行方が定まったようだ。
　「海砂利水魚」は「くりぃむしちゅー」になって、決定的に出世した。
　「五木ひろし」に至る改名ものがたりは涙のものがたりでもある。１９６５年、歌うミスター平凡として颯爽とデビューしたのは「松山まさる」だった。がいま一つ軌道に乗らず、二年後「一条英一」として、「俺を泣かせる夜の雨」で再デビューした。が人気はいまひとつ、銀座で流しをしていた１９６９年遠藤実に見いだされ、「三谷謙」と変わって「雨のヨコハマ」を出した。そして１９７１年「よこはまたそがれ」の名曲に出会った時、「五木ひろし」の名前が人々の話題になり、「五木ひろし」は紅白のトリを歌う歌手に化けた。
　いま新人グラビヤ・アイドル「安斎らら」が評判を呼んでいる。集英社が力を入れ”神の乳”を持っている彼女なのだが、<でかすぎる革命的おっぱい!　なのにスリムでくびれもすばらしい!　とんでもない美ボディー!!> １万部の写真集がまたたく間に重版となった。
　ところがこの写真集を買った人々の間から怒りの声が上がった。「安斎らら」は、AV女優の「宇都宮しをん」ではないか。というのだが、この騒動しかけたシオンが悪いのか、騙された客がアホウなのか、楽しみな行方ではある。