夏の日のお姉さんの水浴び

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 うちわ、スイカ、夕涼み 暑い夏の三大イベントだった。
 扇風機は体に悪いからと、年寄の居ないところでそっとつかった。障子やふすまはすべてはずされて、風遠しの良い夏用のすだれ障子に変わっていた。
 庭先のプールなどは夢のまた夢、どこの家でもたらいの水浴びが定番、夕方になると友達の綺麗なお姉さんも水浴びに興じていた。ふくらみかけたお姉さんの幼い胸に、禁断の風景を見た少年の夏だつた。
 さて最新涼感グッズ・グランド・セール! 猛暑をしのぐアイデア商品あれこれ! とあるが涼しく感じないのは何故だろう。
 ユニクロの高機能インナー「エアリズム」、かっこいい外人モデルが涼しげに歩いてくれても、モデルそのものの存在が暑苦しい。熱を持ちやすい頭を、冷蔵庫で冷やしたジェルでソフトに過ごす夏はとても有難いが、病人用のネツサマ・シートと四色の頭冷ジェルの区別がつかない。入浴剤のサムクナールに至っては、それならなぜ風呂を沸かすのか、という基本的な疑問にぶちあたる。初めから沸かさずに水風呂に入った方が、エネルギーの節約にもなりよほど良いようにおもうが、近頃の人の考えについていけない。
 祇園町の芸妓さんの下さる夏うちわを眺めているほうが、よほど涼しく感じるのはショキ・アルツハイマーのせいか。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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