ウクライナの言語戦争

　連日ウクライナ内戦が伝えられている。　親ロ派と親欧米派に分かれて闘っている。クリミヤ半島はすでにロシアに編入された。ウクライナ東部の親ロ派は独立宣言を発し、ドネツク人民共和国を名乗っている。
　この事態にウクライナ政府は、あわてて欧米各国に救いを求め、なんとか東部の反乱を抑えようと、ますます内戦は迷走している。
　そこにマレーシア航空の撃墜事件が起き、ミサイルはロシア製に間違いはなく悪者は東部の親ロ派にありといった全世界の合唱が始まった。
　遠いアジアの片隅からこの事態を見ていると、やはり悪いのはウクライナ東部の親ロ派かと思わされるが、立ち止まって考えてみると、なぜそんなにウクライナ東部の人々はロシアに愛情をもつのか、不思議なことだと、調べてみた。
　貧困に由来する階級闘争、もしくは宗教戦争というのが、この辺りから中東にかけてのあらかたの紛争原因だが、ウクライナは違った。原因は言語問題、ウクライナ語かロシア語かという問題だつた。東部の親ロ派の人々は圧倒的にロシア語を支持し、西部の人々はウクライナ語へのこだわりだった。
　言語は民族のアイデンティティとばかり、ウクライナ新政府のロシア語禁止政策に東部の親ロ派の人々は激しく抵抗した。子供の頃からロシア語で暮らしてきたウクライナのロシア人にとって、突然降って湧いたように「ロシア語を使うな」と言われ、せめて第二公用語として残せと、訴えたが却下され、ついに内戦に発展したといわれる。
　言葉のための文化戦争、それがウクライナ戦争の内実だった。