アナと雪の女王の策謀

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♪ありのままの姿みせるのよ……ありのままの自分になるの……わたしは自由よ
 なんということだろう。映画館で大合唱している。どう考えても「歌う宗教」の地区大会だ。
ついにディズニーは、世界中の体験ブームに乗って、映画までも全体主義的作法にしてしまった。アナ雪に託したディズニー戦略は、音楽によるセールス・プロモーションのさいたるものだ。
 かってブロードウェイは、演劇を志す青年、ミュージカルを志すダンサーにとって、いつかは僕も私もと憧れの舞台だった。それが21世紀の掛け声とともにディズニーが進出して、若者たちの夢を奪った。いまブロードウェイの上演作品の70パーセントはディズニー制作になってしまった。
 ブロードウェイ・ミュージカルはディズニー映画のネタとなり、世界中の物販につなぐ商品になってしまった。ミュージカルは舞台作品としての独立を奪われ、青年の夢はディズニーの商品となり、商戦に参加するセールスマンとなってしまった。無邪気な日本人は何も考えずに LET IT GO に酔っているが、着々とディズニーの商戦に協力しているのだ。
 そのうち日本の子供たちも、アメリカの砂漠の子供と同じく、尊敬する歴史上の人物はと問えば、ディズニーと答えるようになるのだろう。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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