花柳茂珠さんからお招きをいただいた。
久しぶりの茂香舞踊研究会だった。やはりこの集団のもつユニーさ、革新性は失われていなかった。
たえず邦舞を無形文化財に閉じ込めるのではなく、現代の日本人の踊りにしたいという欲望に充ちていて心地いい時を過ごした。まま才能が有りすぎて難解な舞台もあるが、退屈なオサライ会の延長線上にあるような日舞の会には見られない期待が客席に充ちていた。
まず西川祐子さんの井筒がなかなかに魅せた。家元西川扇蔵の娘に生まれながら、甘んじることなく踊りに精進している。江戸歌舞伎の振付に名をなした西川流らしく粋で大胆な踊りぶりが気持ちいい。
花柳茂珠さんの「香風」繊細な十七弦と琴に乗って米川敏子の絃に託した世界を見事に表現していた。残念だったのはキモノの上に纏った袍の素材が少し硬く、羽風の味を邪魔していた。より柔らかな素材で作ったらよりテーマにちかずいたような気がする。
大胆に言葉をけずり、邦楽器を主体にした演奏は、現代の音楽として無限の可能性がある。長唄も清元も今の人たちの耳には難解すぎる。最後の茂香さんの作品「男舞」期待したが体調不良とのことで残念だった。
健康を取り戻されんことを祈っている。
花柳流の知性
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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