野菜ソムリエを疑う

　肉食やコンビニ食が当たり前になったのはいつ頃からだろう。
　あの頃から呪文のように、サラダを食べているか、野菜をとっているかと耳元がやかましかった。身体のために野菜をとりなさいと、お題目のようにしつこい。それさえ言っていれば、女房の役割は充分務めているような錯覚に囚われていたような気さえする。
　いま芸能人やオヒマな主婦たちの間でひそかに流行っているのが「野菜ソムリエ」という資格だそうだ。当初は「ベジタブル&フルーツマイスター」という面倒くさい名前だった。
　初級のジュニア野菜ソムリエの資格をとるのに13万3350円程かかる。更にハクをつけるためにシニア野菜ソムリエの資格を取らねばならない。女優の長谷川理恵やモーニング娘の安倍なつみ、さらに西田ひかる、東原亜希など皆この資格取りに走り、見事に広告塔の役割を果たした。
　野菜のことをいろいろと知っているのは畑を耕しているオジサン達のようにも思うが、今時のひとは2時間7回の講習で受けたカタガキのほうを有難がる。ワイン・ソムリエやスイーツ・ソムリエ、みんな同じようなものかもしれない。
　資格の野菜ソムリエは日本野菜ソムリエ協会が認定するのだが、この協会を運営するのは同じ住所のフードディスカバリー株式会社だ。そして両方の代表を務めるのが元商社マンのF氏。妙にきな臭い話が伝わってくる。漢字検定のスキャンダルはつい二、三年前の話だが、流行りものの資格とか検定はひとまず立ち止まって考えたほうが良いのではないか。