まくら投げの楽しさ

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 枕言葉、枕絵、枕さがし、枕団子、枕返し、枕相撲、枕時計、枕太刀、枕屏風、枕金、枕紙、枕木、枕芸者、枕障子、枕草紙、……枕にはあらゆる言葉が似合う。少しばかり色っぽい響きをもったものから、あじけない無機質の言葉まで、枕の文字とつながると見事に色艶を増す。
 毎年伊東温泉では、全日本まくら投げ大会なる催しが開かれている。
 その昔悪ガキどもが修学旅行の宿で実施する楽しいゲームだった。ずらりと並んだ布団のうえで偶発的に始まるまくら投げは、楽しくもあり懐かしくもあつた思い出。あのまくら投げを、温泉場のパブリシティとしてやろうと考えたのは、なかなかの策士であった。
 全日本まくら投げ協会公認スポーツというのに驚かされるが、こども/一般/大学の三部門で無邪気に元気に開かれたそうだ。因みに、今年のまくら投げ大学対抗では慶応大学が優勝、見事10万円の賞金を獲得した。
 パリでもサンマルタン運河の近く、自由と革命のレピュブリック広場で、PILLOW FIGHT DAYの枕たたき大会が開かれている。今年は900人の大人が集まって、羽毛の舞い散る4月のパリを楽しんだ。
 8本の大通りと5つのメトロが交差するこの広場から、まくら投げに満足した春のパリヂャンの笑顔が、町中に広がっていったと報じられた。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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