海と景観を奪う万里の堤防

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 東北の海辺に400キロに及ぶコンクリートの目隠しが築かれる。
 名前は防潮堤だがどう考えても海の景観を奪う目隠しとしか考えられない。海に触れたくて、海を見たくて東北の海岸線を訪れていた人は、がっかりして行かなくなるだろう。
 海で生計をたてていた漁民のみなさんも、巨大なコンクリートの中に住んでいては、水槽に漁に出かけるような気分で、漁業という生業に愛情を失うのではなかろうか。
 津波の被害から命を守るため必要な石の目隠しといっているが、総額8500億円の金は政治家と役人とマリコンの為の予算ではないか。
 想定される巨大津波には、10メートルの堤防程度では防げないかもしれない。神のみぞ知るといったところだ。職住分離を考えて危険地域には住まず高いところに住宅を移す、緊急のばあいの避難塔を造る、さらに避難道路を整備して、すみやかに高地へ避難できるようにするなどで、海と海の景観を守ることが出来るのではないか。万里の堤防は暗愚の策ではないか。
 人の命は大切だが、類いまれな環境との共生も捨てがたい大事だ。
 海の民が海を目の前から失ったとき、海を棄ててしまうのではないか。それこそが一番の心配だ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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