まわりが見えないグランクラス

by

in

 来春から金沢・東京間を走る北陸新幹線の新型車両E7系に乗った。
 8輌編成から12輌編成になったので、随分ホームの端まで歩かなければならない。がオシャレな待合室がホームの端に追加され、荷物置きのついた渋い椅子が用意されていた。JRの気の使いようが眼にみえる。
 ホームに滑り込んできたE7系新幹線のエクステリアは、スピード感のあるすっきりとした印象で、アイボリーの車体にブルーと銅色のラインが似合っていたが、JRのいう和のテイストは何処にあるのか、見付からなかった。
 事務所のスタッフの陰謀で、グランクラスに座った。
 ローズウッドを基調にしたインテリアはなかなかの落ち着きで、日本にもようやくインターナショナルなレベルの車が出来たという感じだ。フランスTGVの一等に比べるとぐっとモダンな雰囲気だ。TGVはクラシック・プレミアムなのだが、E7系のそれはもっと今様な空気に満ちている。椅子は豪華なマッサージ・チェアの如くであらゆる機能がついているが、ブルブルとはならなかった。一列と二列の18席のみで、空気は落ち着いている。というより周りの乗客の気配を感じない。なによりのご馳走は一人で居られることだ。騒々しい子連れが乗れる雰囲気がないのが、とてもいい。金沢開通時には、きっとシツケ知らずの母子が乗り込んで、グランクラスの空気を打ち壊すのは必定、急ぎの初物食いがベスト・チョイスだつた。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


カテゴリー


月別アーカイブ