三越の顔が変わる

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 前時代的なショッピング・バッグからようやく抜け出すことになった。
 57年ぶりのリニューアルと云うから如何にも三越らしい。
 それでも三越呉服店の伝統から抜け出すことは出来ず、友禅作家にして人間国宝の森口邦彦の友禅に染めた柄をそのまま取り上げた。2013年日本伝統工芸展に出品された「白地位相割付文 実り」をそのままショッピング・バックにした。
 森口邦彦は人間国宝の父森口華弘のシンプルにして大胆な友禅を前に、とても敵わないと思ったに違いない。脱出口をパリ国立高等装飾美術学校に求めた。そこで彼は現代アートに通じる連続文様、反復文様に辿りついた。ある意味草間彌生の水玉にも似た技法だが、背景に京都があるため基本の形は日本の自然にあった。
 今回の三越に取り上げられた「実り」もたわわに実ったリンゴがモチーフになっている。
 三越よりもナガノのショッピング・バックに取り上げた方がずっといい。県の文化行政としてそうしたバックをプロデュースし、観光のイメージ作りをした方がずっといい。一過性のイベントばかりに眼を取られては代理店を利するだけだ。
 三越のニューバックも白地だけでなく、黒地を作ったらグローバルなイメージ・アップに繋がるだろう。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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