久しぶりに絵と画家のイメージが、コレクションに登場した。
女性たちがイニシアティブを取る今の時代にふさわしい、よりダイナミックにより趣味的に、勿論なかにはよりエロティックにシースルーの路線を推し進めているブランドもある。
話題を呼んだのはシャネル。 精緻をきわめた1900年代の鉄とガラスの宮殿グラン・パレを会場に、CCマークやNo・5のアイコンをモチーフにした絵画やインスタレーションのアート・ワールドを作り上げた。作品もカラーパレットのようなプリントや、画学生に愛されたカートン・バッグなど、ユトリロやブジタの生きたよき時代のパリを彷彿とさせるアートに祝福されたファッションの数々。
もうひとつアートの洗礼を受けたのはプラダのコレクション。 1920年代にメキシコに起こった壁画運動にインスパイアーされた、4人の画家と二人のイラストレーターを起用して会場を女の顔で埋め尽くした。 女の顔はワンピースいっぱいに描かれ、Tシャツに描かれ、バックに描かれて登場した。女の顔はいろいろな意味を持つ。
「女性にもっと闘争的に生きてほしい」というメッセージであり、女の顔の多面性を直裁に表現したというのが言い分だが、ファイン・アートが次々とファツションの餌食になるのは、あまり愉快ではない。ファイン・アートが拝金にまみれた時、もはやアートとはいえない。
アートがファッションの餌食になった。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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