2017年新語・流行語大賞ノミネート候補が発表された。
筆者にかかわりのあるいくつかについて、書き留めておこう。
「フェイク・ニュース」
トランプ大統領がCNNをさしてフェイク・ニュースの巣窟と非難したところから、あっという間に世界中にひろがった。
日本ではメディア界の老舗たる朝日新聞が、韓国人慰安婦問題の誤報からフェイク・ニュースの家元と揶揄され、加計学園獣医学部設立のニュースでは、悪徳官僚とむすび安倍倒閣運動に傾倒したため、ありもしない安倍疑惑を捏造したと、もっぱら「安倍憎しフェイク・ニュース」の製造元ともくされている。安保関連法を戦争法などと論じ、新聞メディア全体の信用をなくした責任は重い。
賢明な読者は朝日からぞくぞくと逃げ出し、いまや朝日新聞購読者はいちじの50パーセントを切ったと言われている。
「働き方改革」
働き方というのは、労働時間の問題ではない。みずからの仕事への情熱と報酬と時間の要素のうえに働き方がある。仕事の実態、内容もわからず、ただ電通にはいりたい、NHKに入りたいといった無知と無謀から、みずからを自殺に追い込むのとは、根本的に違う。
それぞれ仕事にはその仕事なりの環境と置かれた条件がある。日本が夜だからと寝ていては、地球の裏側は昼なのだから、報道の仕事はできない。ドラマ制作の現場でもおなじこと、役者が下手でえんえんと取り直しがあれば、20時アップの予定が28時にのびることもある。
おおむね過保護の両親と、IQ馬鹿の東大卒業生にこうした現場無理解の阿呆が多い。働き方は一律に論じることなく、それぞれのケースで論じるべきだ。
「忖度(そんたく)」
忖度のある社会はそんなに棄てたものではない。日本人の思いやりや忖度は、日本人の美徳とすら考えられる。忖度のある社会こそ、いたわり合い譲り合う、暖かい社会だともいえる。
なんでもかんでも数字で解決するアメリカ的社会は殺伐としている。
スポーツでもかってのスポーツ界では、勝ったからと言って決してガッツポーズなどしなかった。負けた相手の心情を忖度して、勝ち誇った行為は厳につつしんだのが、日本のスポーツだった。いまでは勝つと、負けた相手のまえで踊ったり跳ねたり、とにかくやたら下品なのだ。
いつから日本人はこんなにいやらしい下品な民族に堕ちたのか。
2017流行語大賞ノミネートに思う
コメント
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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