140字を小説とよぶデジタル脳

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 「140字の小説」というのが若者の間で流行っている、という噂が何処からか聞こえてきた。
 どうせそんなものは消えて無くなる、そうそう昔ケイタイ小説というのがあった、あっという間に雲散霧消したよ。……いや、先輩そうじゃないんです。今や書店の店頭にまで進出して文芸本として飾られているんです。どうせ我慢のできないデジタル人間がつまんない文章でも書いているんだろう。興味ないね。
140字小説.jpg
 本屋の店先に140字小説という棚ができているのは本当らしい。140字だったら「詩」を読めば良いだろうと、考えるのはオジサンの思考なのか。140字で文芸とはおこがましい。そんなものは唯のプロットか、それとも小説の端切れに過ぎない。そこまでいって本編を読まないで拒否するのは大人げないと気がついた。いくつかの140字小説を読んでみた。せいぜいCMのベースとしてのアイディアが書いてある、そんな程度である。
総ての恋.jpg 140字.jpg  よい猫.jpg
 小説を知らない子供達、文学を読まない子供達が、これ小説だよと出版社の悪だくみに乗せられて読んでいるとしか思えない。
 もしくはいくら本をつくっても売れない出版社が、ヤケノヤンパチで文学詐欺、文芸詐欺をやっているのかもしれない。まともに芥川賞、直木賞をめざして精進している作家たちにとっては糞の役にも立たない。
 この国には、昔から短詩系文学というジャンルが存在しているのだから、いまさらこんな文字遊びをしなくとも、と考えていたら傍らのテレビで、「面白いわ。小説も読む時代から見る時代になったのね。短くてタイム・パフォーマンスもいいし…」キャピキャピした御姉サンがそうのたまわっていた。 小説よお前もか! 世間はますます漫画に侵されいく。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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