黙殺された金曜日のデモ

　パンダが生まれたと騒ぎ立てるテレビがなにも言わない。
　大飯原発再稼動を決定、と伝える大新聞も一切書かない。
　この時、首相官邸から国会議事堂にかけて、10万人、20万人の人たちが集まっていた。デモの始まりは3月29日、わずか300人から始まったこのデモは、この4ヶ月で700倍にふくれあがった。60年安保以来のデモとしては最大規模のデモだといえる。
　この金曜日の夕方のデモに対し、野田佳彦首相は「大きな音だね」と斬り捨てた。
　デモの主役が組合でもなければ、全学連でもない。烏合の衆とでも判断したのだろう。実際にデモの人たちには、シュプレヒ・コールのリーダーもいなければ、統一された幟もない。てんでばらばらのポスターやビラをかかげて声をあげているだけだ。ジグザグ行進の仕方もしらない。ヘルメットも帽子もなく、警察との衝突などまったく予測していない。いわばあの頃のデモ隊とは全く異なるアマチュアのデモだ。
　サイレント・マジョリティが、ツィツターやらブログで、反原発運動にぞくぞくと加わるようになった。
　報道に対する不信から、「正しい報道ヘリの会」を立ち上げ、ヘリコプターからデモの全容を伝え、反原発のウネリを更に大きく訴えようとしている。大手電力会社の広告費や官邸機密費でコントロールされている大新聞やテレビもいずれは取り上げざるをえなくなるだろう。
気がつけば、アラブの春は東京の夏になっているかもしれない。