アメリカの黒人ゲットーの問題ではない。
日本のテレビ番組の問題だし、文部科学省の役人の問題だ。
今年から中学の義務教育プログラムに、ヒップホップなど黒人ゲツトーの踊りがとりいれられた。先生たちは急ぎ仕度でレッスンに通い、テレビのCMには踊るシーンが圧倒的に増えた。御多分に洩れず番組にもヒップホップのプログラムが次々と登場している。
「うるせぇ! バカ野郎! おめぇの話なんか聞きたくねえんだよ!」少女かりんというヒップホップ自慢の女の子が、審査員の大人に浴びせている言葉だ。不作法な無礼極まりないその言葉をまわりの大人たちは笑いながら楽しんでいる。お笑いの番組ではない。ダンス・コンテストの番組なのだ。応募者の子供たちは次々と踊った後、審査員に罵声を浴びせる。「お前こんなとこにいねぇで、沖縄にかえってシーサーでも齧ってろ!」「おめぇの説教なんか聞きたくねぇんだよ!」とんでもない番組だ。 どうやら司会のお笑いがけしかけているようだが、テレビ局には見識、常識は全く無い。
ダンス・グランプリと掲げられていたが、この種の踊りはアメリカの黒人ゲットーのストリート・ダンスで、いわゆるコンテンポラリーな踊りでもなければ、エスニックな踊りでもない。
ストリートダンスの行われている地域の問題は、つきまとう貧困と犯罪に対するモラルの問題だ。特にいま最大の問題は、若年少女層に圧倒的に多い妊娠の問題と伝えられている。最近の調査では、ゲットーに住む十代の70%の少女が、婚外妊娠の経験があるといわれている。
乱雑で不作法なテレビに出てくる女の子を見ていて、とうとう日本もここまで落ちたかの感を深くした。
黒人ゲットーの影が怖い
コメント
1件のフィードバック
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私も番組見ていました! 最後に少女かりんFanと言う、電通のプロデューサーが、かりん以外のダンサーに投票したのが妙に痛快でした!
しかし、あの番組は、なぜかダンサーが引き立たないセットなのか、照明なのか?床の色がダンスを殺していました!
で優勝したのが、あのセットでも自分達が引き立つ衣装を着たペアだったのも、なぜか解せませんでした!
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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