顔がいっぱいの神戸。

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 いま日本のあちこちで街づくりが進んでいる。魅力的な顔を作ってすこしでも多くの観光客を呼び込もうという企み。海外視察をしたり、有識者を呼んだりと大変なことだ。
 そんな騒ぎをよそに神戸はとても恵まれている。 建物マニュアには風見鶏の街・異人館のある街・港にはレトロな西洋ビル、食いしん坊には中華まんと南京町のある街・灘の酒の町・神戸牛ステーキの街、お洒落マニュアには靴の町・パールの町・ファツションの町、ロマンティストにはみなと町・丘の町、イベント好きにはルミナリエから、鉄人28号、三国志なりきり隊と話題にことかかない。海と山にはさまれたこの町は軽井沢の100倍の顔をもっている。もっとも僕の青春にとっては、丘の上のユダヤ人倶楽部だったり、西村喫茶店のほろ苦いコーヒー、デリカテッセンのパン、千秋楽のその明日花組の生徒となんどもなんども歩いたトアロードの坂道、北野の小さな広場で寒さに震えながら見た港の灯りだったが、日本が貧しかったあの頃ただひとつ、神戸はとても初恋が似合う街だったような気がする。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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