出版不況の折から雑誌社は知恵をしぼって拡販に奔走している。最近最大のヒットは宝島社による「ブランド・ムック」だそうだ。若い女性に人気の「シェル」と「マークジェイコブス」が2週連続で売上1位2位を確保、追い抜いたのは、村上春樹の1Q84だという。ブランドムックは人気ブランドの商品カタログであり、より重要なのは、附録としてついてくるロゴ付きのTシャツやエコ・バック。買い手は雑誌の記事ではなく附録を超えた附録の魅力にはまって、この本の購買動機は附録が限定品であることとお得感だ、と主張する。レスポートのお財布ポーチやサマンサの鏡など町では手に入らないので、好奇心旺盛なアラサーや若いOLにまで人気が及んでいる。雑誌社の編集部員はジャーナリストであることを忘れ、附録向け新商品の開発に血道をあげる。出版不況をのりきるのは情報産業戦略とばかりに、雑貨卸のスタッフよろしく涙ぐましい努力をかさね、内にはそのノウハウがあると豪語する。いまはまだ本屋の店先は小さな雑貨程度の管理ですんでいるが、そのうち電化製品やら洋服やらよろず取り扱わねばならなくなる時がくるかもしれない。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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