除夜の鐘をなくすな

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知恩院の除夜の鐘.jpg 
 まもなく大晦日がくる。
 年越しの風物詩であり、民衆仏教のシンボルになっている除夜の鐘にクレームがよせられているという。 民事調停でオバカな裁判官が、防音パネルの設置と除夜の鐘以外では、鐘をつかないという判決をだしたというが、こんな馬鹿馬鹿しい判決はない。
 教会堂のまわりに防音壁をつくった国は世界中どこにも存在しない。その国の風土の一部として教会の鐘や寺院の鐘が鳴り響くのは、有り難さはあっても迷惑だという価値観はない。
 社会というものにたいする認識が著しく欠けている偏狭な市民のエゴ以外のなにものでもない。
 戦後の日本で著しく欠けてきたのが、宗教教育ではなかったか。軍部が異常に利用してきた神道にたいする反動から、国土の産土神としての神道までおかしなことになってしまった。大嘗祭は内廷費でやれという皇族がでてきたり、靖国という戦没者を祀る社を右翼ときめつけたり、何処の国でも戦没兵士の墓苑に花を捧げて祈祷する心に逆らってきた。
 除夜の鐘をなくしてはいけない。 愚かな市民に代わって、仏教の信者が108っの煩悩を払ってくれている有難い鐘の音ではないか。
それに対し、「ウルサイ!」と怒鳴る近隣の人は「他人の音」が許せない不寛容なヘンクツな人というべきだろう。そういう人は音のまったくない山奥にでも住んで熊とでも共生するしかないだろう。
 除夜の音だけではなく、クリスマスには教会から歌ミサもきこえてくるだろう。天理教の集会所があれば、ウチワ太鼓の音も聴こえてくる。神社からは大太鼓と神楽鈴の音がきこえてくるのだ。そうした宗教催事にたいするクレームは、宗教弾圧にもなりかねない。
 ウルサイと喚く人々は、自分自身の存在こそがウルサイのだということに気がつかねばならない。
 除夜の鐘をなくしてはいけない。全日本仏教会は断固たたかうべきだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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