銀座といえば、銀座の柳をかたく信じている人々がいる。
が残念ながら銀座の柳は、東京五輪をめざして銀座のカツラに生まれ変わったのだ。銀座一丁目から八丁目まで140本が、カツラの木になった。
カツラは落葉樹の高木だから全体の印象がすっかり変わった。
それに葉っぱの形が泣かせる。ハート型の葉なのである。バレンタインのプロモーションにこんなに良い配役はない。
秋には紅葉し、落ちた葉はなんともいえない甘い香りを発する。
クリスマスともなれば、円錐形の樹形がイルミネーションの核として絶好の枝ぶりを提供してくれる。
銀座のカツラは、銀座のために生まれてきたような佳木なのだ。
柳は銀座の象徴として、関東大震災後の歌に登場して愛されたが、時代が移り柳の枝が頭にふれて不愉快だという女性たちに嫌われ、柳のもつナイーブな魅力が通用しなくなってしまった。
硬質なビル街のなかの柳はモダン建築の欠点をおぎなって、大自然を感じさせてくれる素晴らしい佳木とおもうのだが、当世の女性たちはご自分のヘアスタイルの方がよほど大事らしい。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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