避暑地の夏の多様性

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 ようやく軽井沢の夏も終わりがみえてきた。 
 蝉の声や緑の変化で季節の変わり目を感じていたのは数年前までの事、いまではスーパーへ行くと季節の変わり目を感じる。
 コロナに見舞われた去年今年はとくにひどかった。
 普段平静をたもっているスーパーに異変が訪れる。
 果物に始まり、野菜、干物、生魚、肉類、とほぼ買物のコースはきまっていて、表示がなくとも買い物客は平和に移動している。それが夏の訪れとともに変化がおきる。
 広いスーパーに逆流がおきたり、突如横からキャリーが飛び出してアワヤとなったり、線状降水帯のような人間の集団がおそってきたり、ときには奇声を上げて子供が走りまわったり、無秩序とはこういうこと、といった混乱に巻き込まれる。
 都会人の自己主張、都会人のわがまま、都会人の非常識……それらが集約されているのが、軽井沢の夏のスーパーである。
 パーキングには神戸、京都、練馬、茨城、熊谷、湘南、高崎、横浜、富士、世田谷、仙台、名古屋、岡崎、たまに札幌やら、長崎までナンバーが居座っている。なかには必要以上に大きな外車などあって地元の軽ははなはだ動きにくい。
 スーパーの入口には、「お買物はお一人またはお二人様でお願いします。」と書かれているが、茶髪のお兄ちゃんと肩までロングの女子大生風など数人でワイワイガヤガヤ、まるでコロナの団体旅行よろしくスーパーの秩序を乱す。長い髪で無頓着に刺身をのぞき込んでいる風景など、蹴とばしたくなる。
 つくづく避暑地の夏の多様性はいらない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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