遅くなつてごめんなさい。

　パソコンを開く。メールをチェックする。「遅くなってごめんなさい。」さて誰かと約束したっけ。近頃年齢もウスラボケの領域に入っているので、この２、３日の行動をたどつてみる。…がその辺でハッと気が付く、ウィルスがついてくるので絶対に開けてはいけないとスタッフから申し渡されている風俗的誘惑メールと気が付く。「お風呂に入っている私」などという蠱惑的なアドレスもついているが、心を鬼にして削除する。
　少しまえまでは、「近所の奥様がまってます」とか「大人のおつきあい」みたいな短刀直入なキャッチが多かったが、最近では大分かわってきた。「ワリキッタおつき合い」というやつだ。つまり遊びとワリキッテあんなこと、こんなこと、しちゃいます、如何みたいなキャッチ・フレーズなのだ。
　が今ではティーンズからアラフォーまで世の中全体がワリキッテいるのであまり効果はないようだ。　風俗では白人とか北欧娘とか具体的に存在を明示するのはNG、北欧式サービスとかタイ式ヘルスならОＫだとか。当局がなにも感じなくて一般人がニヤリと連想するコピーを作り出すのはなかなか大変と代理店の風俗担当がぼやいていた。「見上げる視線で『お兄ちゃん』」ロリコン趣味のユーザーの眼にとまると１００パーセントの力を発揮するコピーだという。
　今朝あぶなく開けそうになったのが、「連絡事務局」からというメール。軽井沢ラブソング事務局からの連絡事項と早吞込み、クリックしようとしてよく見るとアドレスがどうも怪しい、メガネをかけゆっくりと見直すと明らかにアッチすじのメールなのだ。削除してもう一度画面をみる、ラブソング事務局からはちゃんと正しい別メールがきていた。かくしてパソコンに立ち込めるお色気は削除され、殺伐な日常に戻った冬の軽井沢であった。