「足を引っぱる」というのは、近所のオバサン同志とか、学校の仲間とか、いすれにしても下世話なコミュニティにあるお話と思っていたが、そうでもないらしい。
根拠のない劣等感やナンセンスな嫉妬が動機になって、人は人の足を引っぱるようだ。がこの動機に自分の利害か゜絡んだ時とんでもないことになる。
最近ではそのもっともいい例が、小沢一郎とその周辺にみられる。
官僚制度の打破をずっと叫んでいたのは、当時自民党にいた小沢一郎だった。官僚の手から政治を奪回しなければ、この国はいつまでも不幸がつづく、と主張していた。
07年の参議院で勝ち、09年の衆議院選挙での潮目が民主党に傾いてきたとき、いちばん慌てたのは官僚たちだった。このまま小沢一郎ひきいる民主党が勝てば、小沢首相が実現する。なんとしてもその前にかれを引きずり下ろす必要があった。秘書だった大久保隆規が政治資金収支報告書に虚偽記載したとして逮捕した。小沢の手は汚れているという裏情報をどんどん流し、メディアをのせ見事に足を引っぱった。頭の悪いワイドショウの司会者たちはとにかく小沢の悪口を言うことで正義漢ずらし、説明責任を果たしてないとか、汚れた政治家といいそやした。
代表を降りた小沢は、執念で次官会議を廃止し政治の実権を取り戻そうとしたが、当時の民主党の大臣、副大臣、政務官には官僚を黙らせる知恵もパワーもなかった。小沢の試みは失敗したが、それでも官僚は一度ならず二度までも、検察審査会を手玉にとり小沢一郎の追い落としを計った。
素人の審査員がいろいろと小沢のカネを裁こうとしたが、結局失敗した。
官僚がメディアを総動員して見せてくれた政治劇こそが、「小沢一郎の足を引っぱる」壮大な試みだった。
足を引っぱる
コメント
1件のフィードバック
-
足をひっぱるという行為の中で、引っ張られる方が上の立場で、引っ張る方が下の立場が明確に、分かる事例でした。
小沢一郎≧官僚・メディア連合 の図式がよく理解出来ました。
たった一人で戦った小沢一郎の、次なる野望に期待です!
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す