観光戦略のカン違い

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 いよいよ北陸新幹線がやつてくる。
 来年は善光寺の御開帳だ。東京オリンピツクまであと何年。
 観光資源に恵まれ多くの観光客がやってくる筈とばかりに、信州は湧いている。が一方、全国最多の宿泊施設を持ちながら、宿泊稼働率は全国最下位という観光庁の発表があった。宿泊施設が多すぎるという意見もあるが、より重要なのはリピート率の低さだ。
 だからこの際、サイトを活用した情報発信を充実したいとか、銀座の真ん中に信州誘客ビルを創ろうとかどこか勘違いのアイディアが多い。どんなに魅力的なネット頁をつくっても、そんなのは一過性の花火で、ちゃんとした観光客は来ない。すべてのアイディアがイベント風で地に足がついていない。メディアを利用した誘客戦略など夜の厚化粧と同じ、より根源的な「おもてなし」が必要なのだ。
 何処に行っても信州は食べ物が美味い。川のものが海のものを超えている。野菜はすべてオーガニックで健康にいい。器も安っぽくなく、趣味のいい器が使われている。調理の技術も素晴らしく、メニューの組み立ても優れている。サービスの質も高い。ホテルや宿のインテリアも簡潔で美しい。
 そういった例は県内にもいくつかあるが、足元を学ばないでネットなどいじりまわしてもまったく無駄だということが判っていない。まずい宿まずいホテルが集まって、割引サービスといわれても行きたくない。そういった単純な原点に戻って観光行政を考えるべきだ。
 コンピューターを小脇に抱え、来客を無視して玄関を出入りするオーナーに明日はない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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