視聴率にドラマは判らない

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大河ドラマ「平清盛」の視聴率が上がらないのは、誠に喜ばしい。
 視聴率の上がった大河ドラマは、歴史の皮をかぶった青春ジャニーズ風だったり、姑の嫁いびりが中心のホームドラマ風で、まともな大人が見るようなドラマではなかった。
 それに必ず時代劇はこうだよ、みたいな大スターが登場する。清盛には北大路欣也、松平健、西田敏行などおなじみの時代劇スターがいなくてほっとする。スターやジャニーズ系がでているだけで、まず画面は大衆に媚びたキレイキレイになり、往年の片岡千恵蔵、市川右太衛門風、リアリティーのない東映時代劇映画、商業テレビそのものになる。
 NHKが鳴り物入りで制作するドラマ位は、大衆に媚びない王道のドラマを創ってほしい。
 画面が荒れて汚いのは当然だ。何処かの政治家があの汚い画面ではPRにならないといったとか、そんな寝言につきあう必要はない。プリクラを作っているのではないから、リアルに汚くて当然だ。保元の乱や平治の乱の頃の都が美しくないのはあたりまえで、福原にしても貧しく寒々しい漁村だったのだから、それなりに美しくなかった筈だ。
 当時の法王や摂関家も、都大路を流していた唄比丘尼、いいかえれば唄う売春婦、ストリート・ガールをひっぱりこんで、行為に及んでいたのだから、なにをかいわんやである。
 これから義経、秀衡、頼朝そして清盛とくれば、歴史マニュアならずとも大いに期待するところだ。
いまのリアリティーを維持して、ますます視聴率が落ちてくれたら万々歳である。
 視聴率にドラマを解る民衆はいない。
 
 


コメント

2件のフィードバック

  1. 黒澤映画とは、違いますが少しどぎつい絵つくりには、賛成です!
    NHKですから視聴率を気にしないで、後生に残せる作品になる事を期待してます。
    松山ケンイチさんに、このブログを読んでもらいたい!
    朝ドラは生活の延長なので、視聴率重視、大河は歴史に残る作品、これでいいと思います。

  2. 内藤憲司のアバター
    内藤憲司

    利家と松や春日野局が主役の戦国・江戸ホームドラマにも、「花の乱」のような自己陶酔のこれ見よがしの演出にも辟易。汚れた画像、リアリズム穢れの演出は近年出色の出来栄えかと。ジャニーズや歌舞伎役者の出演なしも潔ぎよし、賛同します!周りに何を言われても負けるな頑張れ、NHKは低視聴率こそ勲章だっ。

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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