見えてなにが悪いの。

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 フリルの超ミニにうしろで縛ったブラ、ヒップボーンのスリム・パンツには黒のミセブラ、網目のキャミソールにレースのミニパン…ブラもパンツも足も見せ放題、酷暑の原宿はほとんど女性たちの天国と化していた。男たちの目線など誰も気にしていない。「かわいいでしょ」「流行っているんだもん」。
 ファツションと呼ぶべきか、防暑服と呼ぶべきか、肌の露出度はキャバクラのオネェ様をかるく超えている。キャミソールが下着から上着に転向して以来、見せブラ、見せパン、透け素材とファッションは限りなく裸に向かっている。ときを同じくして女性社会の到来ということもある。
 長いあいだ直線裁ちのきもの文化をひきずって、女性たちはカクスことに価値を見つけてきたが、ここへきてようやく肉体の魅力、身体の必然に気がつき始めた。
 胸をみせる。お尻を強調する。足を解放する。恥ずかしがって見せないのは、かえって気持ち悪い。自意識過剰と断罪される。セクシーな格好のどこが悪いの。どうぞ見せてあげる。美しく挑発するのは私たちの権利よ、とばかりアラフォーの女性たちまでが、胸の強調された透けたワンピーを着る。
 セクシーな服をきる女の建前と本音、などという男達の屁理屈には興味がない。だからドラマの上でもジラシテ服を脱ぐというシュチエーションはほとんど消滅してしまった。いさぎよいグラビア・アイドル達をみてもよく解る。
 マリリン・モンロー、マドンナ、パリス・ヒルトン、レディー・ガガ、総ては過去の物語となつて、にほんの女性たちは、今みずからのセクシャリティーを手にしたのかもしない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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