薄雪の軽井沢です

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 甲信越は、とか長野県は、とか無責任なお天気情報のおかげであちこちから、大丈夫?というお電話を頂く。
 テレビでは三国あたり、鶴岡あたりの大雪風景をここぞとばかり垂れ流している。ついこの間までは国境のトンネルを超えれば雪国ときまっていた。こたつを共にする芸者駒子の優しさに焦がれた学生時代だった。
 ここ数年、有難いことに軽井沢は豪雪を免れている。
 昨日、一昨日さかんに天気予報のお姉さんが、大陸から猛烈な寒気がやってくるので、外にでるなとか、買いだめろとかいっていたが、高原はほとんど薄雪状態、午後には溶けて消えている。
 薄雪といえば薄明り、むかしはぼんやりした景色が多かったような気がする。
 日暮れたころから活動する薄羽蜻蛉(うすばかげろう)などという儚いとんぼも飛んでいた。近頃では薄紙をはぐような、といっても通じないかもしれないが、どこかに病が潜んでいるような不思議な後期高齢者の日々である。
 文学的には、薄雪というより淡雪といった表現の方が好きだ。
  淡雪の うしろ明るき 月夜かな       子規
  淡雪や カルチェ・ラタンに 切手買う    文子
 それでもやはり優秀句は
  淡雪や かりそめにさす 女傘        草城


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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