姉が懸命に紅を指している。巨大なカツラに花を挿しているのは母親らしい。胸元をはだけた変なきものにうっとりしている新成人。そこにオバカな家族が集って今日は成人式と、レポートしているのは、やはりオバカなレポーターだ。
どこの成人式会場にも一組か二組はいるという花魁姿の新成人。みどりの袴のズカ・ルック。残りはいちりつ貸衣装の大振袖にアクリルの白い襟巻。忘れさられたように数人混じっているのが、紺または黒のきちんとしたスーツ・スタイル。
おおよその新成人は、儀式とコスプレ大会の区別がついていない。ましてや娘の門出に花魁とは、花魁の主たるお仕事が判っていない。いや判っていても、だからなんなの、という売春容認の家族なのかもしれない。
本当に近頃の日本人は理解に苦しむ。男どももモヒカンに剃り上げた白い紋付袴、ロックンロールのメタル・スタイルにピンクのヘアなど訳の判らない新成人がまじっている。
こうなったら全国一律のドレスコードでも出して、まとめて教育するしかないだろう。呉服屋から送られてくる新成人のためのヘア、メーク、写真付の振袖レンタルは営業を禁止するしかないだろう。
市長挨拶も来賓の言葉にも耳をかさず、がやがやと同窓会気分なのがおおかたの成人式と聴こえた。
重ねて「成人式はコスプレ大会ではない」と念押ししたい。
花魁たちの成人式
コメント
1件のフィードバック
-
「成人式はコスプレ大会ではない」は、当然の事して、地元の若者が理由をつけて集まる機会を、町で準備する事も期待したいのです。
時期的には、高校卒業後の夏、もしくは、年齢関係なしに就職した(納税を開始)年の正月とあたりに、ドレスコードフリーの公の式典を準備する替わりに、成人式はガチガチのドレスコードで開催する区別が欲しいのです。1回限りのイベントゆえ、変におかしな連中が突出するので、公のリアル成人式と、任意の汚されてもいい成人式ごっこも平行して行えば成人式の伝統は守られると感じます。
ごっこは、予算がなければ有料でもかまわないと思います。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す