結婚式といえば、プリンセス・ラインや、マーメード・ラインを身にまとい、ヘッドドレスで顔をかくし、フラワー・ブーケを手に、バージン・ロードを歩んでくる花嫁さんが主役と、長い間思い込んできたが、当世ブライダル事情は少しばかり異なるようだ。
女性が男性にひたすら優しさを求め、フィジカルな面が充実してさえいれば、知性などは無用という価値観がはびこった結果、男達はノーミソ不足のイケメン思考が、やたらと増えてしまった。
衣類、バツク、靴などのカタログ知識は十二分、ソーシャル・ネットワークや、ケーム・アプリにも滅法強いが、他人と話しができない。彼女の要求には従順で努力するが、職場では何を考えているのか解らない。我慢がないから、職場でひとこと注意されると、すぐに辞めてしまう。
こうした男性がいざ結婚となると、妙に張り切る。タキシードひとつとってもレンタルはいや、オーダーにこだわる。黒タキ、白タキの域を超えて、太い縁取りのあるフロック・コートなどを選択する。それでは吉本の芸人さん風になってしまいますが、ともいえず貸衣裳屋はまあ儲かればいいか、といった気分で受注する。
翌日電話がかかり、あれはキャンセル彼女が嫌だっていうんです、ラメ入りの白いロング・タキシードに変更してください。どこまでいっても趣味は悪い。テレビに出ている芸人ファッションが、王道とおもっているから始末が悪い。婿殿は花嫁の喜びそうなサプライズを用意し、挙式の当日は客より先に涙を流す。横で花嫁はなんと優しい人と感動する。
花婿が主役
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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