暑いなか、南信濃の飯田はいま人形劇フェスティバルで盛り上がっている。坐光寺の竹田人形座を始め、町のホールや公民館は、日本中から集まった劇団の芝居小屋と化している。どこもかしこもも人形劇なのだ。
フランス北東部のシャルルビルメジェールでは世界人形劇フェスティバルが開かれる。いまは故人になつてしまった水田外史に頼まれて、フランス語で芝居を組み立てたこともあった。シャルルビルに参加するので、最低限あちらの人に通じるようにフランス語で再構成してくれという注文だった。人形劇に携わっている人たちをみるとその努力には頭がさがる。
が、この国には大人が気楽に楽しめる人形劇がない。文楽は大人のものだが、文化財になってしまつていて少々堅苦しい。現代を背景にした大人のための人形劇がないのだ。大人と人形がさしで演じる出使いの作品などまま見受けるが大上段に振りかぶった芸術祭なのだ。
モスクワにあるオブラゾフ人形劇場のような楽しい芝居が見当たらない。ボン・キュッ・パッのセクシーな人形たちが、親父の不倫で大騒ぎなどという面白さがない。AKBの踊りより、オブラゾフの人形たちの踊りのほうがよほど楽しい。人形劇が大人の娯楽になっている。
人形劇を教育素材にして先生達だけが満足するようでは、いつまでも市民権はえられない。
色っぽい人形たちがいない
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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