いま自動車メーカーが、いちばん神経をとがらせていること。
2009年以降、自転車の伸びが毎年10%以上で、とくに若い人ほど、自動車離れがひどく自転車に乗り換えているそうだ。後押ししているのが、ガソリン高とハイガス問題、手元不如意からも自動車を止めて自転車へという傾向が進んでいる。原宿辺りのカップルも「スポーツ・カーよさようなら、自転車よこんにちは」と心変わりしている。
ヒルクライム、テクノクロス、ロードレース、クリテリウム、グランフォンド、シクロクロスと、こまかい自転車イベントも次々に誕生しているが、この国にはツール・ド・フランスのような国家的なイベントはない。
周辺国を巻き込み、23日間にフランス全土を走破するサイクルレースは、全行程3300キロ、高低差2000mの苛酷さだが、全国民と186ヶ国へのテレビ中継で充分に人間と自転車の文化になっている。
埃だらけの街中を走る東京マラソンなどとは、発想の原点が違う。各ステージのトップが着る黄金の「マイヨ・ジョーヌ」はミス・フランスからベーゼと共に贈られ、カフェの話題を独占する。警備にはフランス国家憲兵隊と国家警察2万5000人が動員され、ボランティアは数十万人といわれている。
これに水を差したい自動車大国アメリカが、「自転車はセックスの敵」と謳い、性的能力の低下とか、とくに女性にあっては不妊症、不感症、生理不順を誘発するとキャンペーンを張ってみたがあまり効果はない。
エネルギー効率は徒歩の3倍から4倍、スピードも5倍以上、石油も電気も原子力もいらないから、しばらくは向かうところ敵なしといったところだ。 戦後まもなく「自転車泥棒」という名画があった。
自動車よさようなら、自転車よこんにちは。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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