肥大化する「B層」

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 小泉郵政選挙の折、大衆を誘導するにはどうしたらいいか、という命題のもとに自民党が代理店に依頼して生まれたのが、「B層」という概念だった。 
 「B層」の構成要因は、IQが低いこと、政治的にはノンポリ、ポピュリズムに騙されやすい、TV・新聞・大学教授の言葉を鵜呑みにし、踊らされ、騙されたと憤慨しながらも、その後永遠に騙され続ける人々、それがB層の特質と定義された。
 大震災直後は絆、オリンピックでは感動をもらった、自己啓発書をよめば胸をつかれた、という浅く軽い人々のことだ。
 いまこの「B層」が日本を駄目にしているという議論が、あちこちでもちあがっている。
 検索した結果はすべて正しい、友達はフェイスブックで作る、尊敬する人はディズニー、安倍さんはかっこいいから支持する、麻生さんは経済が良くわかる、日本が世界に誇る文化はマンガである。…こうしたB層の特質を追っかけていくとキリがない。
 AKBに入りたくて門前市をなす十代の少女たち、CDを買って総選挙に殺到するバカモノたち、そのジャンケン争いを中継して儲けるテレビ局、メンバーの淫行を記事にして稼ぐ出版業者、このシステムは俺が作ったと肩をそやす作詞屋、さらに海外のジャパン・ウィークに派遣して恥をさらす外務省、通産省、文部科学省の官僚たち、そこにB層の巨大コングリマリットができている。
 B層のエセ・グルメには、産地直送・期間限定・有機栽培・秘伝・匠の技など琴線に触れるキーワードが、たいへん良く効く。
 B層はスマホ、パソコン、オリンピックが大好き、目の前の人間を粗末に扱うので、限りなく少年犯罪、ミステリーが増殖する。
 会社が傾き、社会が荒れていくのは、B層の存在だという議論なのだ。


コメント

1件のフィードバック

  1. B層、身につまされる話しです、10問アンケートで、5問当てはめれば「B層」なんて問題がつくれそうですが、「B層」を食い物にしているマスコミには無理な話ですね! 今度自分で作ってみます!

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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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