ついこの間まで世界のソニー、世界のパナソニックといつていた日本の誇る電機メーカーはこのところさっぱりだ。中国のハイヤール、韓国のサムソンのはるか後方について、いまやベスト・テンにも入らない所まで落ちている。日本の誇る輸出産業と信じてきたのが、なんとも情けない状態になってしまつた。
そこで今元気な輸出産業はないかと探してみたところありました。多国籍企業ならぬ多国籍宗教がこの国から世界に向けて次々と海を渡っている。80年代のアメリカに於ける創価学会の折伏はつとに有名だが、日本のカルトといわれた新宗教はそれぞれのお国柄に合わせ、ゆるく変化しながら勢力図を広げている。中近東に於けるキリスト教とイスラム教の衝突には眼をふさぎその隙間を狙って着々とグローバル化しているのが、日本の新宗教だといえる。
ブラジル・サンパウロの郊外には東京ドーム85個分の広大な敷地に、世界救世教「光の塔」が立っている。岡田教主が訪れた09年には、この聖地グァラピランガを6万人のブラジル人が埋め尽くした。救世教の信徒は国内83万人に対し、海外では50か国125万人と云われているし、創価学会も192ヶ国169万1000人、霊友会173万人、成長の家110万2104人、真如苑9万3060人、幸福の科学100万人と海外での布教成果を誇っている。
「貧・病・争」から逃れたいと思う後進国の人々の心に楔をうちこみ、先進国では既存宗教のカロリーダウンにつけこみ、ワールドワイドな宗教なのか、スピリチュアリティなのか、あるいは文化的事業なのか、21世紀の世界のカオスを舞台にした新しいグローバル宗教として、次々と手を打っているのが、日本の新宗教パワーといえるだろう。
続々と海を渡る新宗教。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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