絶望的なロリータ・ファッション

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 日本とパリをまたいで活躍したレオナルド藤田を次の「軽井沢ぶんか組」のテーマにしようと、彼の晩年、少女だらけのロリータ趣味をどう取り上げるかについて議論していたところ、今流行っている秋葉ロリータ、原宿ロリータ、渋谷ロリータの話題に塗り替えられてしまった。
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 フリル・レース・リボンに飾られた、ロリータ・ファッションは「日本発祥の文化」と発言する人もいれば、なに「漫画の影響」で「自己満足の極致」、いっときの気の迷いと断罪する向きもある。
 イギリスでは、ロリータはファッションではない、生活様式である、と報道されている。
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 ロリータ専門のアパレルも何社か存在し、ロリータ・ファッション・モデルも存在するというから吃驚。
 「ロリータ・ババア」と呼ばれている40歳の青木美沙子などは、中国と日本を舞台にSNSどころかマイ・ウエーブをもっているというから驚く。中国共産党が何故ロリータを弾圧しないのか、不思議のなかの不思議である。
 青木の契約アパレルは、10社以上に及び、CM・デザインアドバイス・イベントモデルと全方向で活躍しているという。
 ロリータそのものがファッション産業の一角を担って存在するのもこの国ならではのことだ。
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 可愛く甘さを主張する「アマロリ」または「ヒメロリ」、退廃的な雰囲気の「ゴスロリ」、エレガントでクラシックな「クラロリ」、パンクやボンデを取り入れた「パンクロリ」、戦争軍服のイメージの「ミリロリ」など、彼女たちはひとまとめにしてほしくないらしい。
 ロリータにはロリータなりのジェンダー意識があり、未熟に気がつかない感性がある。私が満足しているのだから他人の干渉は受けない、との強烈な自己承認欲求にまみれた、後進国独自の恥ずかしいサブ・カルこそがロリータ・ファッションの軸だろう。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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