神道のポスターに中国女性

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神道のポスターに中国女性
 神社本庁の制作したポスターに問題ありと、ネットを賑わしている。
 ポスターは東北大震災のおり、日本人の災害と向かい合った態度への称賛を背景にした、神社社頭に掲示するためのものだった。キャッチ・コピーに大きく「日本人でよかった」とある。大きく女性の顔、背景に日の丸、デザインは悪いポスターではない。
 ところがモデルとなった女性に問題があった。
 日本人でよかった、というキャッチにもかかわらずこのモデルは中国人だったというのだ。スポンサーの神社本庁は、デザインの仕上がりだけを見てOKを出したに違いない。まさかそこに写っているモデルが中国人だったとは、思いもよらなかったことだろう。
 モデルの採用について、オーディションをかけなかったことは歴然としている。無責任な代理店と利益第一のデザイン会社のしでかした結果が、このポスターだった。第三者の立場からは喜劇としか映らない。
 この事件に対する反響が興味深かかった。長嶋一茂は広告効果があったからいいじゃんと、天然ぶりを発揮していた。ある評論家は、そんな馬鹿なと怒りまくっていた。そもそも神社本庁とは神道の総本山である、日本固有の宗教ポスターに中国人を使うとは、神道は死んだとまで怒っていた。町の女性はキレイだからいいじゃん、と広告に毒されたバカ丸出しのリアクションだった。
 よく考えてみると、ここには広告デザイナーのモラルの問題がかくされている。本来なら丁寧にオーディションをかけてモデルを決定し、撮影すべきなのに、すべてを略して既存素材を使用したところに問題がある。
 ついこの間オリンピックのシンボルマークのデザインでも問題になったが、既存の情報を持ってくることに抵抗感がないのだ。
 理由はすべてに蔓延る予算に違いない。代理店やデザイン会社が介入するとまず経費の問題がもちあがる。
すこしでも安くあげて、利益を見込もうとする。そこにデザイナーも引っ張りこまれ、モラルを見失うのだ。
 半世紀にわたって民族教育をしてこなかったツケがこんな処に現れる。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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