神事芸能としての相撲と女性について

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神事芸能としての相撲と女性について
 大相撲における土俵上への女性登場について、ワイドショウのコメンテーターがかしましい。
 男女同権の今、そんな差別は許されない。何故女性市長の挨拶が土俵上でできないのか。チビッ子相撲に女の子が出れないのはおかしい。こんなことでは、相撲は女性の支持を失って滅びるぞ。相撲協会は社団法人だから、内閣府が黙っているのはおかしい、安倍内閣が悪い。……等々
 大相撲のそもそもについて、あまりにも無知な人が多い。
 発祥は農耕民族としての日本人の暮らしのなかの大切な神事芸能であった。、収穫への祈り、収穫への競い合いが神事としての宗教性をもって長い歴史をつくってきた。
 力と力のぶつかり合いという側面から、もっぱら男性のみがかかわる神事となったのが相撲である。差別ではなく区別なのだ。神事のなかでも舞などは、いまでも巫女舞と呼ばれて、女性のみに許されている。
 古来、宗教や習俗から発した行事や芸能には、男女それぞれの役割があった。そのことは差別でもなんでもない。当たり前のことだ。
 すべてを差別と断じて非難する人は、浅い知識と「区別の文化」のない人なのだ。
 どうしても土俵に上がって挨拶したい、と駄々をこねた大臣や市長は選挙運動を土俵上からしたいだけなのだろう。協会もいちいち土俵のまんなかにマイクなど持ち出さず、土俵サイドですべての挨拶をしたらいいのだ。 お祓いをし、神を勧請した土俵の神聖を保つには、そうするしかない。中途半端な慣行がいちばんいけない。とくになんでもかんでも素人が口出しして正当化するクレーマー万能時代には、必要な措置ではないだろうか。
 神事芸能とギャンブル・スポーツをいっしょくたに考える馬鹿が多いのだから、協会はもっと毅然たる態度で発言していかなければ、情報過剰時代に飲み込まれてしまう。 伝統や習俗は民族の財産なのだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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