祇園町の「初寄り」

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 今日壱月十三日は「初寄り」の日だ。
 祇園甲部の芸妓、舞妓全員が新門前の井上流家元の稽古場に集まる。
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 女紅場と呼び、馴染んでいる「祇園女子技芸専門学校」とともに、井上流家元の稽古場は彼女たちにとって重要な重みのある場所である。
 見習い、店出し、襟替え、温習会、都をどり、常のお稽古、歳を重ねて引祝いまで、何百回、何千回も通わなければならない大切な稽古場なのだ。その稽古場に歳の初めに集まって家元はじめお師匠さんにご挨拶をし、お師匠さんからはお盃と、控えのお師匠さんから結び昆布、するめ、お豆さんをいただき、おすましの雑煮をいただく。
 お客さんはじめ全員揃ったところで、芸妓、舞妓それぞれがお祝いの舞を二番舞う。
 初寄りはお稽古の始まりを共に喜び、一層の努力を誓う晴れがましい日なのだ。
 舞が終わると、黒紋付の名取の祝宴となる。祇園菱岩のおせち、紅白扇型の赤飯と白蒸しをいただく。
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 門前には、アマチュアカメラマンが群れをなし、初寄りから出てくる芸妓、舞妓にレンズを向け、通りがかりの旅行者もくわわって何時もながらの祇園の狂騒が演じられる。 


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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